外壁の見積書に「シーリング打ち替え」と書かれていたり、業者が「コーキングが切れています」と言ったりします。
この2つは、何が違うのか。
結論から書きます。現場では、ほぼ同じ意味で使われています。ただし、業界の分類では別物です。
私はリフォーム営業と施工管理で9年、現場にいました。そのうえで、断面図と見積書の話までまとめます。

業界の分類では「コーキング材」は1種類だけです
日本シーリング材工業会という業界団体があります。そこの製品一覧は、こう分かれています。
- シリコーン系
- 変成シリコーン系
- ポリウレタン系
- ポリサルファイド系
- アクリル系
- ブチルゴム系
- 油性コーキング材
- ほか
「コーキング材」として独立しているのは、油性コーキング材の1種類だけです。コニシの「ボンド油性コーク」、セメダインの「ポリコーク」などが該当します。
それ以外は、すべて「シーリング材」です。
つまり、正確に言えばこうなります。
| 呼び方 | 業界の分類での意味 |
|---|---|
| シーリング材 | 目地を埋める材料の総称 |
| コーキング材 | そのうちの油性タイプ1種類 |
ただし、現場でこの使い分けをしている人はほとんどいません。職人も営業も「コーキング」と言い、見積書には「シーリング」と書く、というのが実際です。どちらで言われても、指しているものは同じだと思って構いません。
呼び方の違いで工事の質は変わりません。見るべきは、材料の種類と施工方法です。
目地の中がどうなっているか
外壁の目地は、シーリング材だけで埋まっているわけではありません。

サイディングの目地には、奥にハットジョイナーという部材が入り、その手前にバックアップ材かボンドブレーカーを入れてからシーリング材を充填します。
なぜ、わざわざ間に材料を挟むのか。
シーリング材を、両側の壁だけに接着させるためです。これを二面接着といいます。
外壁は、気温や地震で動きます。両側の2面だけでくっついていれば、シーリング材が伸び縮みして動きを吸収できます。ところが、奥の面にもくっついてしまうと(三面接着)、伸びる余地がなくなって真ん中から裂けます。
「まだ数年なのに切れている」というシーリングは、ここが原因のことがあります。
打ち替えと増し打ちは、まったく別の工事です
見積書に出てくるのは、この2つです。
| 打ち替え | 増し打ち | |
|---|---|---|
| 既存のシーリング | 撤去する | 残したまま |
| 上から充填 | 新品を充填 | 上に重ねる |
| 手間 | 多い(撤去+清掃) | 少ない |
| 金額 | 高い | 安い |
基本は打ち替えです。古いシーリングを残したまま上に重ねても、下の層が劣化していれば、そこから切れます。
ただし、増し打ちにせざるを得ない場所があります。サッシまわりです。無理に撤去しようとすると、防水紙やサッシまわりの下地を傷めることがあります。この場合は増し打ちが選ばれます。
つまり、「増し打ち=手抜き」ではありません。問題は、どこを打ち替えて、どこを増し打ちするのかが見積書に書かれていないことです。
見積書のここを見てください
1. 数量が「m(メートル)」で書かれているか
シーリングは長さで計算します。目地の総延長です。書かれていなければ、何メートル分の工事なのか分かりません。
2. 「打ち替え」と「増し打ち」が区別されているか
両方が混在するのが普通です。どちらがどこなのかを聞いてください。
3. 撤去費が入っているか
打ち替えなら、古いシーリングを撤去する手間がかかります。この費用が別なのか込みなのかを確認します。
4. 材料名が書かれているか
変成シリコーン系なのか、ポリウレタン系なのか。外壁の上から塗装するなら、塗料が乗る材料である必要があります。
私が受け取った10社の見積書では、こういう状態でした。
- 「付帯部塗装 一式」としか書かれていない見積書があった
- 「下地調整(塗膜剥がれのケレン等) 一式 25,000円」と、別の行で立てている会社があった
「一式」と書かれていると、何をどこまでやるのかが分かりません。金額が高いか安いか以前に、検証ができません。

そのまま使える質問
「シーリングは何メートルありますか。打ち替えと増し打ちは、それぞれどの場所ですか。撤去費は含まれていますか。使う材料のメーカー名と商品名も教えてください。」
この質問に具体的に答えられる会社は、現地をきちんと見ています。
劣化のサイン
シーリングは、外壁より先に寿命が来ます。次のような状態なら、点検の時期です。
- ひび割れている
- 硬くなっている(押しても戻らない)
- 痩せて、目地の奥が見えている
- 端が壁から剥がれている
ここから雨水が入ると、外壁材の裏側に回ります。外壁の表面は無事に見えても、内部が傷んでいることがあります。
外壁の内側がどうなっているかは、断面図にまとめました。
外壁の構造を断面図で解説|サイディングとモルタルはどう違う?
まとめ
- 業界の分類では、コーキング材は油性の1種類。ほかはすべてシーリング材
- 現場では同じ意味で使われている。呼び方で質は変わらない
- 目地は二面接着が基本。三面接着になると裂ける
- 打ち替えが基本だが、サッシまわりは増し打ちになることがある
- 見積書では、数量(m)・打ち替えと増し打ちの区別・撤去費・材料名を見る
見積書の見方は、10社分を並べた記事にまとめています。
出典として「外壁塗装ハック」と書き、この記事へリンクしていただければ、図をそのまま使えます。連絡は不要です。
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