外壁の色は、塗ってしまうと次に変えられるのは10年以上先です。家具や壁紙のように、気に入らなければ替えるということができません。
私はリフォーム営業と施工管理で9年、現場にいました。その間に、塗り終わってから「思っていた色と違う」と言われる場面を何度も見ています。そして原因は、毎回ほとんど同じでした。
- 色で後悔する人にいちばん多い原因
- 汚れが目立つ色と、目立たない色
- 小さい色見本で決めてはいけない理由
- 色によって費用と持ちが変わること
- 塗る前にやるべき確認の手順
後悔の原因で最も多いのは「思ったより明るかった」

色の失敗というと、奇抜な色を選んでしまった例を思い浮かべるかもしれません。実際にはそうではありません。
圧倒的に多いのは、落ち着いた色を選んだつもりが、塗ったら明るく見えたというケースです。
面積が大きくなるほど、色は明るく鮮やかに見えます
これは面積効果と呼ばれる、目の性質によるものです。同じ色でも、面積が大きくなるほど明るく、鮮やかに感じられます。
色見本は手のひらサイズです。外壁は何百㎡もあります。この差が、そのまま印象の差になります。
色見本で「少し暗いかな」と感じるくらいがちょうどよく、見本で「ちょうどいい」と感じた色は、塗るとワントーン明るく見えます。
特に白・ベージュ・アイボリーなど明るい系統は、この差が出やすい色です。
逆に、暗い色を選んだ人が「思ったより暗い」と後悔することは、経験上ほとんどありませんでした。
汚れが目立つ色・目立たない色

外壁につく汚れは、大きく分けて3種類あります。
- 砂やほこり(グレー〜茶色っぽい汚れ)
- 排気ガスや油分(黒っぽい汚れ)
- コケ・藻・カビ(緑〜黒。北面や日陰に出やすい)
つまりついてくる汚れの色は、だいたいグレーか黒か緑です。その中間くらいの色が、いちばん汚れが目立ちません。
| 色 | 汚れの目立ちにくさ | 理由 |
|---|---|---|
| グレー系 | ◎ 最も目立たない | 砂ぼこりも黒ずみも、色が近いため同化する |
| ベージュ・アイボリー | ◎ 目立たない | 土や砂の汚れと色が近い |
| ブラウン系 | ○ | 汚れは目立たないが、色あせは分かりやすい |
| 白・純白 | △ 目立つ | あらゆる汚れが浮く。特にコケの緑と黒ずみ |
| 黒・濃紺 | △ 目立つ | 汚れ自体より、乾いた水垢や粉が白く浮く |
| 赤・青などの原色 | ✕ | 色あせが早く、退色が目立つ |
白は、黒い汚れとコケが浮きます。黒は、雨だれの水垢や、乾いた砂ぼこりが白く浮きます。
どちらも「汚れに強い色」ではありません。選ぶなら、汚れを覚悟したうえで選んでください。
なお、コケや藻は色ではなく環境で決まります。北向きの面、隣家との隙間、植栽が近い場所は、どの色を選んでも出ます。いま出ているなら、外壁点検チェックシートで劣化の進み具合を先に確認してください。
小さい色見本だけで決めてはいけません

業者が持ってくる色見本帳は、1色あたり数センチ角です。これだけで決めるのは、失敗する典型です。
A4以上の見本を出してもらう
多くの業者は、希望すればA4サイズの塗り板を用意できます。実際にその塗料を塗った板です。無料で出してくれる業者がほとんどです。
これを必ず屋外に持ち出して、自分の家の壁に当てて見てください。
- 晴れの日の日向で見る
- 日陰でも見る(北面は一日中こう見えます)
- 夕方にも見る(西日で色は大きく変わります)
- 離れて見る(5m以上)
同じ塗り板でも、この4つで印象がはっきり変わります。室内の蛍光灯の下だけで決めた色は、外に出た瞬間に別の色に見えます。
近所を歩くのがいちばん確実です
実物大で色を確認できる、最も簡単な方法です。気になる色の家を見つけたら、写真を撮って業者に見せてください。「この色に近い塗料はありますか」と聞けば、候補を出してもらえます。
築年数の経った家も、あわせて見ておくと参考になります。その色が10年後にどう見えるかが分かります。
屋根・サッシ・付帯部との組み合わせで決まります

外壁だけを単体で選ぶと、まとまりません。家の外観は、外壁のほかに屋根・サッシ・玄関ドア・雨どいで構成されています。
このうち、塗り替えで変えられないものがあります。
| 部位 | 塗装で変えられるか |
|---|---|
| 外壁 | ◎ 変えられる |
| 屋根 | ◎ 変えられる(塗装する場合) |
| 雨どい・破風板などの付帯部 | ◎ 変えられる |
| サッシ(窓枠) | ✕ 基本的に変えられない |
| 玄関ドア | △ 多くの場合そのまま |
サッシはブロンズ(茶)・シルバー・ブラック・ホワイトのいずれかであることが多く、塗り替えでは変わりません。
外壁の色は、サッシの色に合わせて選ぶのが失敗しない順番です。たとえばブロンズのサッシに寒色系の外壁を合わせると、ちぐはぐな印象になりやすいです。
付帯部をどこまで塗るかで、仕上がりの印象は大きく変わります。塗れる箇所と塗れない材質は付帯部の記事にまとめています。
色によって、費用も持ちも変わります
あまり知られていませんが、選ぶ色で金額が変わることがあります。
原色や濃い色は、退色が早い
赤・黄・オレンジといった鮮やかな色は、使われる顔料の性質上紫外線に弱く、色あせが早く出ます。同じ塗料でも、白やグレーに比べて見た目の劣化が先に来ます。
濃い色も同様で、色あせたときの変化が分かりやすいという難点があります。
色数を増やすと手間が増えます
外壁を2色に塗り分ける、いわゆるツートンは人気があります。ただし境目の養生に手間がかかるため、単色より費用が上がることがあります。
見積もりを取るときは、単色の場合とツートンの場合の両方で出してもらうと差が分かります。見積書のどこを見るべきかは13社の見積書を比較した記事で解説しています。
なお濃い色は室内の温度に影響します。黒に近い色ほど熱を吸収するため、屋根を濃色にすると夏の暑さに響くことがあります。
失敗しない決め方の手順

ここまでを、順番に並べます。
- サッシと玄関ドアの色を確認する(変えられない色から決める)
- 近所を歩いて、実物大の色を見る。良い家は写真を撮る
- 候補を3色まで絞る(多すぎると決まりません)
- A4以上の塗り板を出してもらう
- 日向・日陰・夕方・離れての4パターンで見る
- 見本より少し暗めを選ぶ(面積効果のぶん明るく見えます)
- 汚れやすい面(北面)があるかを確認する
- この色の塗り板を出してもらえますか
- この色は退色しやすい色ですか
- ツートンにした場合、いくら変わりますか
この3つに具体的に答えられない業者は、色の相談相手としては頼りません。業者の見極め方は悪徳業者の見分け方にまとめています。
まとめ
- 後悔でいちばん多いのは「思ったより明るかった」。面積効果のぶん、見本より暗めを選ぶ
- 汚れが目立たないのはグレー系とベージュ系。白と黒は逆の理由でどちらも目立つ
- 小さい色見本で決めない。A4以上の塗り板を、日向・日陰・夕方・離れて確認する
- サッシの色は変えられない。そこに合わせて外壁を決める
- 原色と濃色は退色が早い。ツートンは費用が上がることがある
色は好みの問題なので、正解はありません。ただ失敗のパターンは決まっています。面積効果と、汚れの色と、サッシ。この3つを外さなければ、大きく外すことはありません。
そして、色の相談に付き合ってくれる業者かどうかも見てください。塗り板を面倒がる業者は、工事も同じ姿勢のことが多いです。
業者選びから始める場合は、一括見積もりサイト42社を採点したランキングをご覧ください。複数社から見積もりを取れば、色の提案力も比べられます。


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