外壁塗装の見積書を見たとき、私がいちばん驚いた項目は塗料ではありませんでした。
足場です。
同じアパートに10社が見積もりを出しました。それなのに、足場の数量は380㎡から556㎡まで、1.46倍もちがいました。
建物は1つです。足場を組む面積も、本来なら1つのはずです。それでも数字が割れるのは、足場の数量には決まった測り方があり、そこに判断が入るからです。
この記事では、足場がどんな部材でできているかを見てから、見積書の数量をどう検算するかまで説明します。リフォーム営業を5年、施工管理(現場監督)を4年やってきた経験から書きます。
足場は9つの部材でできています

外壁塗装でよく使われるのは、くさび緊結式足場(ビケ足場)と呼ばれるものです。ハンマーで打ち込んで組み立てるため、組立が速く、戸建てに向いています。
| 番号 | 部材 | 役割 |
|---|---|---|
| 1 | ジャッキベース | 脚部。高さを微調整して水平を出す |
| 2 | 支柱 | 垂直方向の柱 |
| 3 | 布材 | 支柱をつなぐ横の棒 |
| 4 | ブラケット | 踏板を受ける部材 |
| 5 | 踏板 | 職人が実際に立つ床 |
| 6 | 手すり | 転落防止 |
| 7 | 幅木 | 足元から物が落ちるのを防ぐ |
| 8 | 壁つなぎ | 建物と足場を固定する |
| 9 | メッシュシート | 塗料の飛散を防ぐ |
8の壁つなぎは、外壁に穴を開けて固定します。
塗装の最後に穴を埋めますが、どう処理するかは会社によって違います。気になる方は、契約前に聞いておいてください。
足場の数量は、この式で出します

見積書の「足場 ◯◯㎡」という数字は、この式で出しています。
(建物の外周 + 8m) × 高さ = 足場の面積
+8mというのは、建物と足場のすき間のぶんです。職人が作業するために建物から約1m離して組むので、4つの角で回り込むぶんが外周に加算されます。
つまり、外周と高さが分かれば、自分で検算できます。図面がなくても、外周は歩幅で測ればおおよそ出ます。
それでも、同じ建物で1.46倍ちがいました

私のアパートに10社が出した数量です。
| 会社 | 足場の数量 | ㎡単価 | 足場代 |
|---|---|---|---|
| E社 | 556㎡ | 550円 | 305,800円 |
| I社 | 550㎡ | 750円 | 412,500円 |
| A社 | 490㎡ | 780円 | 382,200円 |
| C社 | 481㎡ | 800円 | 384,800円 |
| D社 | 480㎡ | 900円 | 432,000円 |
| B社 | 442㎡ | 700円 | 309,400円 |
| G社(契約) | 380㎡ | 800円 | 304,000円 |
最小の380㎡と最大の556㎡で1.46倍。足場代そのものも30.4万円から43.2万円まで、12.8万円の開きがありました。
なぜ差が出るのか
- 外周と高さの測り方が違う
- ベランダや出窓など、どこまで組むかの判断が違う
- 隣家との距離で、組める範囲が変わる
- 余裕を多めにとる会社と、必要最小限で組む会社がある
どれも間違いではありません。ただ数量が1.46倍になれば、金額も比例して動くということです。
単価が安い会社が、総額でも安いとは限りません

ここがいちばん見落とされる部分です。
| ㎡単価 | 数量 | 足場代 | |
|---|---|---|---|
| E社 | 550円(最安) | 556㎡ | 305,800円 |
| G社 | 800円 | 380㎡ | 304,000円 |
E社は㎡550円といちばん安い単価です。それでも数量が556㎡と最大なので、㎡800円のG社(380㎡)と金額はほとんど変わりません。
単価だけを見比べても、足場代は分かりません。
必ず㎡単価 × 数量で計算した金額どうしを比べてください。
ちなみに、足場が380㎡といちばん少なかったG社は、足場会社を自社で持っていました。外注しないぶん、必要な範囲を自社の判断で決められます。
飛散防止シートが、別の行か込みかで単価が変わって見えます

もう1つ、比較を狂わせる要素があります。飛散防止シート(メッシュシート)の書き方です。
シートを別の行で計上する会社と、足場代に含めて1行にする会社があります。
| 書き方 | 見積書の記載 | 実質の㎡単価 |
|---|---|---|
| 別の行 | 足場 556㎡ @550円 飛散防止シート 556㎡ @140円 | 690円 |
| 合算 | 足場(シート込み)556㎡ @690円 | 690円 |
どちらも同じ内容です。それでも「足場の行」だけを見比べると、前者は550円、後者は690円に見えます。
見積書を比べるときは、シートと養生を合算してから並べてください。
私も最初は「550円の会社が安い」と勘違いしました。
足場は総額の1〜2割を占めます

足場は塗装そのものではないので、軽く見られがちです。ただ総額の1〜2割を占めるので、300万円の工事なら30万〜60万円になります。
私の見積書でも、足場だけで30.4万円から43.2万円でした。
「足場代無料」には注意してください。
足場は必ず費用がかかります。無料にできるなら、他のどこかに乗せているということです。無料と言われたら、総額で比べてください。
足場の見積書で確認すること
- 数量(㎡)が書かれているか。「一式」なら出してもらう
- その数量を(外周+8m)×高さで検算してみる
- 飛散防止シート・養生が別行か、込みか
- 合算した実質の㎡単価で他社と比べる
- 壁つなぎの穴をどう処理するか
私が受け取った見積書10社分は、足場・高圧洗浄・塗料・諸経費まで項目ごとに公開しています。
外壁塗装13社に依頼した結果|見積書から分かる塗料や足場の相場
アパートでの実例は、こちらに詳しく書きました。
アパートの外壁塗装はいくら?8室225㎡に10社が出した金額は160万〜458万円
まとめ
- 足場は9つの部材の組み合わせ
- 数量は(外周+8m)×高さで出す。自分で検算できる
- 同じ建物なのに数量が1.46倍、足場代に12.8万円の開きがあった
- 単価が安い会社が総額でも安いとは限らない
- 飛散防止シートの書き方で、単価の見え方が変わる
- 足場は総額の1〜2割。「無料」は他に乗っている
屋根と外壁の構造も知っておくと、見積書の全体が読めるようになります。
外壁の構造を断面図で解説|サイディングとモルタルはどう違う?
契約前に確認する順番は、こちらにまとめました。
外壁塗装の業者の選び方|13社に依頼して分かった契約前の確認手順
1社ずつ自分で探すのは現実的ではないので、複数社に声をかける手段として一括見積もりサイトを使うことになります。42社を採点した結果は一括見積もりサイト42社の比較ランキングにまとめています。


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